加入者に負担増、国保の広域化

 

加入者に負担増を押し付ける「国保都道府県単位化」、「統一保険料」について伺います。

国民健康保険は、歴史的にも法的にも、「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」社会保障制度です。

国民健康保険加入者の支払い能力をはるかに超える国保料が各地で大問題となっています。

高すぎる国保料を完納できない滞納世帯は、厚労省の資料でも2015年度、336万世帯にもなり、差し押さえの件数も約30万件にのぼっています。

こうした事態を引き起こした元凶は、1984年の国保法改悪で国保の国庫負担を引き下げたのを皮切りに、国保の財政・運営に対する国の責任を後退させてきたことにあります。

1984年度から2014年度の間に、市町村国保の総収入に占める国庫支出金の割合は50%から24%へと半減し、それと表裏一体に、一人当たりの国保料は、1980年代が3、4万円、1990年代が6、7万円、2000年代以降は8、9万円と上がり続けています。これでは滞納が増えるのは当然です。

本市の資料でも、1977年は、2万8円、1985年は、4万3736円、1995年は、6万9248円、2005年は8万8089円、2015年は、9万392円と全国の傾向と同じように上がり続けています。

国保財政を危機に追いやっている、もう一つの要因は、加入者の所得減・貧困化です。かつて国保加入者の多数派は自営業者と農林漁業者でしたが、今では国保世帯主の4割は年金生活者、3割が非正規労働者です。

厚労省の調査では、国保の加入世帯の平均所得は、1991年の276万円から2015年度は140万円へと激減しています。加入者の所得が減っているのに、保険料が上がり続ければ滞納が増えるのは当然です。

安倍政権は2015年、「国民皆保険創設以来の大改革」といって、「国保の都道府県化」を含む「医療保険改悪法」を可決しました。しかし、その内容は、「大改革」とは名ばかりの、住民負担増、徴収強化、給付費削減という従来の国保行政の強化策でしかありませんでした。

制度改悪の第一は、「国保の都道府県化」です。

2018年4月から、都道府県が国保の「保険者」となり、市町村の国保行政を統括・監督する仕組みが導入されます。2016年4月に、新制度の基本的な考えを示す、「国保運営方針ガイドライン」を厚労省が策定しました。

新制度スタート後も、保険料の決定・徴収は市町村が担い、市町村ごとの保険料格差は残ります。同時に、新制度のもとで、国保の財政は都道府県が一括管理し、都道府県が各市町村に「納付金」を割り当て、市町村が住民から集めた保険料を都道府県に「納付」する形で、国保財政はまかなわれることになります。都道府県が各市町村に「納付金」の負担額を提示する際、市町村ごとの「基準保険料率」を公表することになっています。

大阪府は、今年の2月に「新たな国保制度における『市町村基準保険料率』の仮試算結果について」を公表しました。

 

「納付金」は100%完納が原則で、市町村には、保険料の徴収強化の圧力がかけられます。また、「納付金」の割り当てに際し、都道府県は市町村ごとに「医療給付費の水準」、「標準的な収納率」、「標準保険料率」などの指標を提示します。これにより、「給付費の水準の高い自治体」、「収納率が低い自治体」、「一般会計の独自繰入で保険料を下げている自治体」などが一目瞭然となり、市町村には、給付抑制、収納率向上、繰入解消への圧力が加えられます。

都道府県を「国保財政の管理者」、「市町村国保の監督役」とすることで、住民いじめの国保行政をいっそう強化するのが、国の狙いです。

「医療保険改悪法」は、都道府県に、「国保運営方針」の策定を義務づけ、それを都道府県が別途策定する「医療費適正化計画」や「地域医療構想」と整合させることを義務づけています。「国保運営方針」による市町村への予算配分、「医療費適正化計画」による給付費抑制、「地域医療構想」による病床削減、これらの権限をすべて都道府県に集中して、強権的に給付費を削減することが、「医療保険改悪法」の核心です。

市町村の独自繰入の「解消」で国保料がさらに引き上がり、保険証の取り上げや差し押さえなど無慈悲な滞納制裁がいっそう強化されるのでは、住民の苦難は増すばかりです。

そこに、強引な給付抑制策や病床削減が結びつけば、地域の医療基盤が壊れかねません。こんな「都道府県化」は、住民にとって何のメリットもありません。

 

高齢化や医療技術の進歩により、今後も、国保の医療給付費は増え続け、保険料は上がり続けます。内閣府の試算でも、現在「年9万1千円」の国保の一人当たり保険料は、2025年には「年11万2千円」になると見込まれています。

現在、国・都道府県による国保の公費負担は、給付費の50%ですが、1984年の国保法改定以前、定率負担と調整交付金をあわせた国庫負担は「総医療費」の45%で、給付費に直せば6割以上でした。

全国知事会は、国との「国保改革」の協議の場で、「1兆円の国庫負担増」を要求しています。これが実現すれば、国保料は1人当たり3万円、4人家族で12万円の軽減となり、国保の保険料負担は協会けんぽと同水準になるというのが知事会の説明です。

 

「7割・5割・2割」の法定軽減や、失業で国保に加入した人への「所得割」の軽減など、現行の減額制度も改善・拡充し、低所得者が重すぎる国保料に苦しめられる状況を打開する必要があります。

加入者数に応じて定額が加算される国保料の「均等割」については、「子どもが多い世帯ほど負担増となるのは、子育て支援への逆行だ」という批判が高まり、国と地方の協議で、「子どもの均等割の軽減措置」を検討することが合意となりました。

加入者の頭数に応じて負担を増やす「均等割」、すべての加入世帯に定額を賦課する「平等割」など、所得に関係なく賦課される「応益割」の存在は、保険料の逆進性を高め、低所得世帯を重い負担で苦しめる重大要因となっています。

「均等割」、「平等割」の軽減をすすめ、人頭税型の「応益割」の廃止が求められています。

「医療保険改悪法」による「国保の都道府県化」は、市町村の一般会計繰入をやめさせる圧力を強化するものですが、地方自治を規定した憲法のもと、市町村独自の公費繰入を法令で「禁止」はできないというのが政府の説明です。法案審議でも、政府・厚労省は、新制度スタート後も、市町村の独自繰入は制限されず、自治体の判断で行なえると答弁せざるを得ませんでした。

市町村による一般会計繰入や都道府県による独自財源の投入など、国保料の高騰を抑え、住民の負担軽減をはかる自治体の努力が必要です。

「国保改革」の議論のなかで、全国知事会など地方団体からは、被保険者の多くが低所得なのに、保険料負担が重過ぎることこそ「国保の構造問題」であり、この矛盾は、国庫負担の大幅増額によってしか解決できないということが、たびたび指摘されました。

貧困と格差が広がるもと、「国保の構造問題」はいっそう深刻となり、滞納世帯の増加、「資格証明書」や無保険の急増、差し押さえの横行など、さまざまな社会的被害が拡大しています。都道府県を「国保の監督者」とすることで、住民負担増、滞納制裁、給付費抑制をいっそう強化するという、「国保の都道府県化」では、この矛盾は解決できません。

「国保の構造問題」を解決し、本当に持続可能な医療制度とするには、根本的な制度の改革が必要です。そこで、高すぎる国保料を引き下げ、低所得者が多く加入し、保険料に事業主負担もない国保を維持するためには、全国知事会も要望されているように、相当額の国庫負担が必要だと考えますが、見解をお聞かせください。

 

昨年の6月市議会で、国民健康保険制度が都道府県単位化されることで市民に与える影響について、お聞きしましたが、答弁では、「保険料は非常に高額であることは認識しており、保険料のさらなる値上げとならないよう、また、独自減免が存続できるように、大阪府に引き続き要望する」とのことでした。

また、「これまでと同様、今後も滞納世帯の実情を十二分に調査し、聞き取りを行うなど、きめ細やかで適切な対応を行っていく」ことや、「国庫負担の復元」は、「国保財政の安定化に不可欠なもの」として、「従来から市長会等を通じ要望し続けてきた」こと、「低所得者支援策」など、「今後も引き続き、市長会等を通じ要望してまいりたい」と述べられました。

改めて、新制度に移行するスケジュールが明らかになる中、現在の進捗状況とともに、「都道府県化」により、医療費給付の抑制、保険料の値上げ、徴収や国民健康保険証の取り上げの強化につながらないのか、また、独自減免の制度が本当に守れるのか、見解をお聞かせください。

 

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