水道事業の広域化・民営化を警戒

次に、水道事業の広域化・民営化の動きについて、市の見解を伺います。

国会で、水道法改正案が衆議院で可決後、参議院で時間切れ継続審議となりました。

水道事業は、水道管の老朽化や耐震化の遅れが深刻化しているなか、都市整備や災害対応でも特別の対策が必要な事業です。

改正案は、都道府県を広域化の推進役にし、「地方公共団体が水道事業者等としての位置づけを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入する」としています。

法改正の理由については、①人口減少に伴う水需要の減少、②水道施設の老朽化、③深刻化する人材不足、④約半数の上水道事業者で給水原価が供給原価を上回る、⑤指定工事事業者が大幅に増え運営実態の把握や技術指導が困難なことなどを課題にあげ、広域化と官民連携の推進でこれを解決するとしています。

しかし、これらの水道事業の基盤を崩してしまったのは、国の政策が原因です。

1960年代の高度経済成長時代に各地で水不足問題が起こり、1962年に水資源開発公団が設立され、大型ダムによる水利権開発事業が国家プロジェクトとして推進されました。この事業は、過剰な水需要の見通しに基づいたもので、過大な資本投資の返済負担が、施設更新費用の積み立てを困難にさせています。国の水道政策の失敗が、地方自治体の水道事業を圧迫しているといえます。

自らが招いた水道事業の窮状を、政策の失敗を顧みることなく、「広域化と官民連携」で解決できるかのような政策誘導ではまた、新たな水道事業の困難を招きかねません。

 

2014年に施行された、水循環基本法では「水が国民共有の貴重な財産であり公共性の高いもの」であり、「全ての国民がその恵沢を将来にわたって享受できること」を基本理念としてあげています。水道は国民の生存権を保障する事業であり、単なる水を商品として販売する営利事業ではありません。

 

世界では、民営化された水道事業がその弊害から再生するため、次々と再公営化されています。2015年3月末までに、世界37カ国で民営化された235水道事業が再公営化されたと報告されています。フランスのパリでは、水道メジャーが地域独占事業者となり、民営化の結果、水道料金が265%も上昇し、市民サービスが低下し、再び公営化にもどし水道料金を引き下げることができました。

 

水道法改正では、水道事業へのコンセッション導入として、水道資産を地方公共団体が所有し、地方公共団体と民間事業者が事業権契約を締結することで、民間事業者が水道経営権を獲得できるとしています。

利益追求が目的の民間事業者の参入・独占化で、人件費の削減により専門技術力が低下し、水道料金の値上げ、設備更新費の削減などが懸念されます。利益優先の民間事業者の参入は、公共水道事業の安全・安定性の後退につながる危険をはらんでいます。

公共性の高い水道事業に民営化はなじまないと考えますが、市の見解をお聞かせください。

 

次に、水道事業の広域化の問題点についてです。

本市では、2007年9月に「富田林市水道事業基本構想」を策定し、「安全で良質な水を安定的に効率的に供給すること」や「2つ以上の水源からの送水により供給の安定性を確保する」としています。

現在、本市の水源別配水量は2017年度で、滝畑ダムから607万立方メートル48.5%、企業団水から488万立方メートル38.9%、地下水から157万立方メートル12.6%の供給量です。

ダムは渇水や濁り水の影響をうけ、企業団水は原発事故や大規模地震で供給が止まる可能性があります。災害対策としても市の独自水源を確保し、複数の水源を確保することは重要です。

2010年に大阪広域水道企業団が設立されて以降、水道事業の広域化と自己水源の扱いが問題になっていますが、市は自己水を大事にし、災害時も水道水を安定供給できるようにすべきだと考えますが、見解をお示しください。

 

給水人口と給水量がダウンサイズしていくなかで、安全な水を安定的に供給する水道事業を維持して、確実に水道施設の更新と整備を進めるには、国が地方への財政支援を強めること、将来にわたって水道事業を維持できる技術者の確保と育成、技術・技能の継承を図ることが大事です。

また、上下水道事業は、市民の命の水を扱い、工事の高い専門性と、技術の蓄積が求められます。命の危険を伴うような事故が発生する可能性もあります。

市は、水道事業の職員が高い技術力を保持し、工事の安全性を確保できるための対策をどのようにしているのか、お聞かせください。

 

カテゴリー: 活動報告   パーマリンク